​1st Prize 新たな生活を求めて 

In Search of a New Life Photo by Yannis Behrakis / Reuters

2位

アルゼンチン

​暴力を受ける
女性たち

Photo by

​カール・マンチーニ

Karl Mancini

http://www.karlmancini.com/

双子の姉妹を持つリヴィカ・シラー(11)。母、アドリアナは昔の彼氏、ギュスタヴォ・メルネックの脅迫による犠牲者だ。アドリアナは45回も警察に不安を訴えていたにも関わらず、何の保護も得られなかった。ギュスタヴォはバスの運転手で、アドリアナが住むエリアで働いている。アドリアナは今までに何度も殴られ、2016年3月24日には、口論の後、娘達の前で首を締められた。彼女は監獄さながら、いつも彼に会うのを恐れて生きている。2016年11月30日 マロン、ブエノスアイレス郊外、アルゼンチン

おばの家の前にいるマリア・ギメネス(19歳)。いとこであるパオラ・ギメネス(22歳)とその娘が横にいる。サーシャ・ギメネス(16歳)は窓から顔を出している。マリアは勉強しながら貧しい人のためのスープキッチンで時折働いている。
5歳の時から母、兄弟たち、義父とヴィジャ・フィオリトに住んでいる。その頃から義父は彼女と姉妹を虐待し、兄弟に暴力をふるい始めた。2013年に母が死んでからは、姉が義父と婚約させられ、兄弟のひとりは盗みに手を染め、パコを吸い始めた。パコは2001年のアルゼンチン危機以降につくられたドラッグでコカインの蔓延に起因している。ごく安価なのに神経に強い影響を与える。数年後、兄弟は警察に殺された。捜査は継続中だ。

2016年、マリアは火事によって家を失った。ヴィジャ・フィオリトはリアチュエロ川のほとりにあるブエノスアイレスの郊外のスラムのひとつで、世界でも最悪の場所と言えるだろう。道のほとんどは舗装されておらず、夜道に電灯はない。環境汚染、水道の不足、不安定な電力、犯罪、ドラッグ取引、ドラッグの蔓延は、この場所が抱える問題だ。住民のほとんどが極貧で、育った環境と、ほとんど雇用が望めないことから犯罪に手を染める。2017年3月11日 ヴィジャ・フィオリト、ブエノスアイレス、アルゼンチン

女性の権利団体「ムマラ」の活動に参加する女性。マスクを付け、前月に殺された女性たちの名前を掲げて、政府の女性局の前で「ニ・ウナ・メノス(ひとりとして失ってはならない)」のデモを繰り広げた。「ニ・ウナ・メノス」は女性に対する暴力や殺人に対する抗議活動だ。

2016年、アルゼンチンでは30時間毎に女性が殺されていた。2017年の1月には状況が悪化し、18時間にひとりとなる。このムーブメントはウルグアイ、チリ、ペルー、メキシコ、ヨーロッパに広まった。現在では46カ国でデモが開催され、何百万人という女性が世界中で権利を求め、多くの人が苦しんでいる暴力に対する抗議を行っている。2017年6月3日 ブエノスアイレス、アルゼンチン

後ろに大きな壁がある中心地の通りを歩く女性。町中に落書きがある。落書きの内容は政治的なこと、その多くがジェンダーに基づく(主に女性に対する)暴力、不正、死んだ人々について描かれている。2017年6月10日 ブエノスアイレス、アルゼンチン

ダイアナ・バレン・コルクの墓の前で涙ながらに祈る知人の女性ふたり。ダイアナは恋人だったパラグアイ人の男に刺し殺された。男は貧しい地区ヴィジャ31の麻薬の売人だった。2016年12月12日 ブエノスアイレス

フェミニスト団体にかくまわれているカリーナ・アブレグ(42歳)とその娘フロレンシア(23歳)、婿と孫のシロ。カリーナは28歳で結婚したが、夫はアルコール中毒で11年に及ぶ暴力の後、彼女に火をつけた。カリーナは健康上の理由で働くことができないが、政府からの援助は何もない。カリーナは今権利を勝ち取るために闘っている。姉妹であるカロリーナはそれをサポートするために「カリーナのための正義」というキャンペーンを立ち上げた。2016年12月6日 サン・アントニオ・デ・パドゥア、ブエノスアイレス郊外、アルゼンチン

フェミニスト団体にかくまわれているカリーナ・アブレグ(42歳)。カリーナは28歳で結婚したが、夫はアルコール中毒で11年に及ぶ暴力の後、彼女に火をつけた。カリーナは健康上の理由で働くことができないが、政府からの援助は何もない。カリーナは今権利を勝ち取るために闘っている。姉妹であるカロリーナはそれをサポートするために「カリーナのための正義」というキャンペーンを立ち上げた。2016年12月6日 サン・アントニオ・デ・パドゥア、ブエノスアイレス郊外、アルゼンチン

道路にいる馬。トンギー地区はアルゼンチン首都圏にあるスラムのひとつだ。ブエノスアイレス郊外の最南西部にある。昔は沼地で家の無い人々が暮らしていた。沼地を埋め立てるために人々はゴミを投入したが、それによって汚染や健康被害が出る事などには考えが及ばなかった。住民は貧しく、犯罪率は高く、子ども達は危険な状況にある。ここではジェンダー暴力が広く蔓延している。しばしば少女たちは家庭内暴力に苦しみ、恋人のために家を出るが、その相手は裏組織とつながっており、彼女たちにドラッグと売春を強いることとなる。13歳から16歳で妊娠する少女も多い。2017年3月21日 ロマス・デ・ザモラ、アルゼンチン

ベレン・トレス(20歳)は“麻酔士”の被害者のひとりだ。犯人であるジェラルド・イスマエル・ビリリスは、職業と被害者への拷問のやり方からそう呼ばれる。

ベレンは仕事を探しており、2016年12月28日、町の裕福なエリアであるパレルモでジェラルドの秘書として働き始めた。翌年1月30日、ベレンがジェラルドのアパートで仕事をしていると、友人と会っていたジェラルドが帰宅し、クラック(コカイン)を吸い始めた。少したってから彼はベレンを殴り始め、殺そうとした。幸いなことに近所の人がそれを見つけ、彼女を救い出し、病院へ運んだ。医者はベレンの血液からドラッグと鎮痛成分を見つけ出した。ジェラルドが逮捕されてから、警察は他にも何人もの被害者がいることをつきとめた。彼はドラッグと鎮痛剤の混合したものを被害者に与え、時には友人と共に虐待した。ベレンは肩の骨折に苦しみ、ガラスを突っ込まれたために片方の耳が聞こえない。2017年3月16日 ラ・タブラダ、ブエノスアイレス、アルゼンチン

ベレン・トレス(20歳)は“麻酔士”の被害者のひとりだ。犯人であるジェラルド・イスマエル・ビリリスは、職業と被害者への拷問のやり方からそう呼ばれる。この写真は暴力の後の様子だ。

ベレンは仕事を探しており、2016年12月28日、町の裕福なエリアであるパレルモでジェラルドの秘書として働き始めた。翌年1月30日、ベレンがジェラルドのアパートで仕事をしていると、友人と会っていたジェラルドが帰宅し、クラック(コカイン)を吸い始めた。少したってから彼はベレンを殴り始め、殺そうとした。幸いなことに近所の人がそれを見つけ、彼女を救い出し、病院へ運んだ。医者はベレンの血液からドラッグと鎮痛成分を見つけ出した。ジェラルドが逮捕されてから、警察は他にも何人もの被害者がいることをつきとめた。彼はドラッグと鎮痛剤の混合したものを被害者に与え、時には友人と共に虐待した。ベレンは肩の骨折に苦しみ、ガラスを突っ込まれたために片方の耳が聞こえない。2017年3月16日 ラ・タブラダ、ブエノスアイレス、アルゼンチン

ベレン・トレス(20歳)は“麻酔士”の被害者のひとりだ。犯人であるジェラルド・イスマエル・ビリリスは、職業と被害者への拷問のやり方からそう呼ばれる。この写真は暴力の後の様子だ。

ベレンは仕事を探しており、2016年12月28日、町の裕福なエリアであるパレルモでジェラルドの秘書として働き始めた。翌年1月30日、ベレンがジェラルドのアパートで仕事をしていると、友人と会っていたジェラルドが帰宅し、クラック(コカイン)を吸い始めた。少したってから彼はベレンを殴り始め、殺そうとした。幸いなことに近所の人がそれを見つけ、彼女を救い出し、病院へ運んだ。医者はベレンの血液からドラッグと鎮痛成分を見つけ出した。ジェラルドが逮捕されてから、警察は他にも何人もの被害者がいることをつきとめた。彼はドラッグと鎮痛剤の混合したものを被害者に与え、時には友人と共に虐待した。ベレンは肩の骨折に苦しみ、ガラスを突っ込まれたために片方の耳が聞こえない。2017年3月16日 ラ・タブラダ、ブエノスアイレス、アルゼンチン

娘を殺害したオスカー・ヘルナン・トリニダッド・バエズの終身刑判決を聞いた直後のマルタ・タルキとその夫。被害者のダイアナ・ベレン・コルクは恋人だったバエズに何ヵ所も刺されていた。バエズは、マリアの家もあるレイトロ駅の近くの貧しい地区ヴィジャ31の麻薬の売人だった。2017年11月29日 ブエノスアイレス、アルゼンチン

マドレス・ヴィクティマ・デ・トラータのリーダー、マルガリータ・メイラ。この団体は娘を誘拐されたり、性奴隷として売買された娘を持つ母親の団体だ。アルゼンチンではこのような出来事が横行している。彼女の娘、スザンナ・グラシエラ・ベッカーは1991年に行方不明となり、亡くなった姿で発見された。まだ17歳だった。ドラッグディーラーだった彼氏が、彼女を誘拐して売ったのだ。マルガリータは1992年に14人の母親たちと団体を立ち上げた。ブエノスアイレスには1500の売春宿があり、国内では4万を数える。2016年12月5日 バリオ・コンスティテューション、ブエノスアイレス、アルゼンチン

左から右へ。カルラ・アントネッラ・カンテロス(26歳)と息子のミロ(1歳半)、アナ・デ・ヘズス・ラミレス(55歳)、ミリアム・ディアズ(54歳)、エステル・ラミレス(46歳)とその娘ジャクリン・デュアルテ(18歳)。彼女たちはみなジェンダー暴力に悩み、全員がコーペラティヴァ・ミカ(ミカ共同体)のメンバーだ。コーペラティヴァ・ミカはジェンダー暴力に立ち向かう女性の団体で、ヴィジャ21でミカエラ・ガオナが殺されたのをきっかけに創設された。彼女たちはジェンダー暴力について声をあげながら、ヘアー・メイクの教室をオーガナイズしている。ヴィジャ21はブエノスアイレス南部のバラカス地区にある。テレビやローカル・メディアはここを「最も危険なブエノスアイレスのスラム」と位置づける。ブエノスアイレスと郊外を分ける汚れたリアチュエロ川の側にあり、45000人が住んでいる。過去5年間に270人が殺され、貧しい子ども達が吸うドラッグのパコが蔓延し、住民はいつも警察の厄介になっている。2016年12月8日 ヴィラ21、ブエノスアイレス、アルゼンチン

カルラ・アントネッラ・カンテロス(26歳)が彼氏に殴られて泣いている。カルラには5人の子どもがいる。最初の彼氏の子ども、アウグスティーナ(8歳)、ヴェロニカ(6歳)は昔の彼氏の姉とコルドバで暮らしている。カンデラ(5歳)、ミア(4歳)、ミロ(1歳半)は次の彼氏の子どもだ。両親の早すぎる死の後、カルラは祖父母に育てられた。その数年後、祖父母も亡くし、彼女は家もお金もなく、ひとりで残された。彼女はいつも彼氏に頼り切っていたが、2番目の男はひどく暴力的だった。妊娠中でさえ、絶え間なく虐待と暴力を受けていた。コーペラティヴァ・ミカの助けによってシェルターに移ったカルラはその男と縁を切り、今ではメンバーの一員となっている。しかし残念なことに新しい彼氏とも問題が始まりかけている。彼女には姉妹と兄弟がひとりづついるが、そのどちらとも関係を断っている。姉妹とつき合わない理由は、姉妹のアルコール中毒で暴力的な彼氏の強制を避けるためだ。カルラの人生は地獄のようだった。2016年12月20日 ヴィジャ21、ブエノスアイレス、アルゼンチン